ボクは、ならは町の特産品「ゆず」のキャラクター、ならは生まれのゆず太郎です。
 今から15年ほど前、「ゆず香る文化の里」づくりのため、ならは町では、各家庭に「ゆず」の苗を配りました。今ではその苗が生長し、香り高いゆずがたわわに稔り、町の特産品になりました。ボクの両親は100歳を越えていますが、まだまだ元気です。
 ボク、ゆず太郎は、ならは町の自然の中で、体一杯に太陽の恵みを受け、両親に負けないような、大きくて立派なゆずの樹になりたいと思っています。
 
 数年前、大勢の仲間たちと冬を過ごしに、ならは町、上繁岡の大堤にやってきたのですが、電線に触れて羽を痛めてしまいました。飛べない白鳥になったななちゃんは、それ以来、空を飛ぶ夢を見ながら、この大堤で暮しています。
 毎年11月ごろになると、仲間たちがこの大堤に飛来します。1年ぶりに仲間と生活することができるこの季節は、ななちゃんにとって最高に幸せな時です。
 水ぬるむ3月、仲間たちが北へ旅立つ準備を始めます。仲間たちはななちゃんに、一緒に飛び立つ練習をして、一緒に北へ帰ろうと、何度も声をかけるのです。でも、ななちゃんは飛ぶ夢を見る白鳥です。広い池にぽつんと残ったななちゃんの上空を、何回も、何回も旋回し、来年もきっと帰ってくるから、ななちゃん元気でねと、仲間たちは口々に叫んで、なごり惜しそうに北へ去ってゆきます。
 こうしてまた1年、ななちゃんの一人ぼっちの生活が始まります。
 
私が「なな」です。 白鳥の群れ